Work
8『決壊』
Publication date: 2008/06/25
ニヒリズムの極限から現代人の孤独を見つめ、「個人」として生の絶望を描いた衝撃作。
凄惨なバラバラ殺人事件によって「決壊」した世界。逮捕されたのは、被害者の兄で、〝誰からも愛される〟エリート公務員の沢野崇だった。――00年代の実存の危機を、一切の妥協なく追究した本作は、知の無力化、自爆テロ、メディアによる暴力の拡散など、この後の世界の姿を驚くべき精度で先取りしている。崩壊する家族と「個人」を仮借なく描いた衝撃的な結末は、激しい賛否を巻き起こした。20世紀の終焉を告げ、分人主義の原点となった、平野文学の先鋭的な達成と転機。芸術選奨文部大臣新人賞受賞。
First Appearance
『新潮』2006年11月号 - 2008年4月号
Awards
芸術選奨文部科学大臣新人賞